最高のアイドル

 

 

 

 

 

生涯のアイドルが、アイドル人生に区切りをつける。

 

 

 

 

 

 

 

半年間、生きていたのかいなかったのか、夢の中にいたのか現実にいたのかそれもわからないほど、どこか浮いているような感じだった。きっとちゃんと生きていたんだけど、ちゃんと生きてなかった。いつも通りに生活していたようで、どこかで穴が空いたような喪失感が片隅にありながら生活していたのだと思う。何がダメで、何が良かったのかもわからなかった。「どうか」と願うことが無力であることを実感しても強くあれるほど、聞き分けのいい大人にはなれなかった。これからの未来を負の感情のまま迎えるなんてあんまりだよと、そう思わずにはいられなかった。

それでも友人と、家族と一緒に食べるご飯はいつも美味しいし、友人や家族は、いつも優しい。たくさん話を聞いてくれた。泣いていい、と言ってくれた。泣いている私を抱きしめてくれた。つい溢れてしまいそうな感情を目の前にしても、いつも通りに接してくれる人のありがたさも知った。

 

”推しごときで”と思う人もいると思う。そう思う人がいることは仕方のないことで、彼らは一年に一回会えるか会えないか程度の、見られるとしてもテレビの中か何か媒体を通している姿の、会おうと思えば会えるわけじゃない、連絡先も知らない、ただの他人だから。きっと彼らの人生のこれっぽっちも私は知らない。

だから、彼らによって、泣き、喜び、笑い、怒り、こんなに豊かに感情を揺さぶられるなんて、人生の中の大丈夫じゃない日を大丈夫に変えてくれるなんて、わからない人にはきっとわからないのだと思うけれど。(別に知らないから損と言っているわけではなく、人生の重きを置く場所が違うという話)

 

でもそんな推しごときで、私はこんな大学のレポートで出されたらうんざりする量の文章を書こうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10年前、出会った時既に貴方は「誰かに幸せを与えること」を仕事にしていた。1日1日を噛み締めるごとに大人になっていく貴方を見る度に、初めて貴方を見た時のことを思い出します。いつだって未来を彷徨って思考する人間がいる中で、貴方はまだ何にでもなれる10代という若さで誰かを幸せにする仕事を選んで、普通の生活とは引き換えに不思議な世界に足を踏み入れた。そう決断してくれた貴方に、何度でもありがとうと伝えたい。

当たり前に生活の中に貴方がいて、悔しい思いをした時も、嬉しい思いをした時もたくさんあった。「ジャニーズ」という夢と錯乱した現実が交差する世界で、どんな時でも夢を見させてくれた。何年か経って、「あの時は悔しかった」と語る貴方を見て自分と同じ思いをしていたんだなと思うとちょっと嬉しかったりもした。仲間との訣別、新たな出会い、一生の別れ、たっくさんの思いを抱えてステージに立つ姿、色々な経験を経て大人になっていく姿、仲間との未来を語る姿を見ているのが楽しくて、ワクワクしてたまらなかった。

 

そんな素敵な姿しか見ていなかったから、その中で新たな区切りをつけようと思っていたなんて思ってもいなかったな。

 

貴方について知らないことは山ほどあるけど、貴方について知っていることは全て、あたたかくて優しさに包まれている。だから、きっと知らないところで泣いたり悩んだり苦しんできたんだよね。その姿さえ見せない貴方が最後のパフォーマンスでカメラに向けた後ろ姿は、どう喩えても何にも変えられない、全てを背負ってきた背中だった。絶対に背中を向けることなんてないと思っていた貴方が向けた背中が、あまりにも強くて、優しくて、それでいて寂しそうだった。泣かない、と強く決めていたのだろうけど、溢れてしまったから、背中を見せることを選んだんだよね。最後まで弱さすら見せてくれないから、どうしても私は夢を追いかけてしまうんだけれど、だけどその背中を見てなんとなく、ああ、旅立つんだなとわかってしまったよ。仲間の背中を後ろから見守る姿の貴方はもういない。けど、紛れもなく貴方は最高のリーダーだったよ。

 

 

誰もを虜にしてしまう太陽のような笑顔、「嫌いなやつ見たことない」と言わせるほどの愛され度、目の前で起こることを一つ一つ丁寧に、純粋に受け止めていく力、忘れてしまうような小さな感情を噛みしめて大切に仕舞うこと、何時だってありのままを見せてくれること。貴方を形作るどんな要素も「らしさ」が詰まっているね。そのらしさゆえ、これから必要以上に受け止めすぎてマイナスな感情になってしまう時がくるのではないかと不安になったけれど、いつだって貴方の周りには仲間がいるんだったね。「大丈夫じゃない」と貴方がすぐに駆け込めるあたたかい場所が、これからもすぐそばにありますように。

いつだって無力なファンはこうやって願うことしかできないけれど、それでも絶対的な幸せを願わせてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直、受け入れるなんて思いはこれっぽっちもなくて、今この文章を書いているこの時だって「なんで、どうして」という思いばかりで。来年も再来年も、節目節目のお祝いを楽しんだり、また新しい姿を見せてくれたりするもんだと思ってた。今までジャニーズだった人がジャニーズじゃなくなること、グループから抜けること。半年前は夢だと思っていたことが、本当に起こるなんて。なんだろう。わからない。今になって言葉が出てこない。

明日になっても、人は普通に働いて、普通に生きていく。どんな感情を持ってたとしても引きずらずに生きていくことを求められる。私も明日普通に学校行くし、バイトにも行くし、ご飯も食べるし、来週には実習もある。そこに猶予は存在しない。

門出なはずなのに、お祝いできなくてごめんね。あまりにも綺麗すぎて思い出の一つとして仕舞いたくないんだ。

 

 

 

 

心を持っている人間のことを好きになることはこんなにも辛い。仮にも相手も人間であり、相手の人生がある。感情がある。何時でも気持ちと気持ちがうまく重なり合うわけではない。でもそんなたくさんの感情を持ち合わせた人間だから、好きになった。

 

こんな文章届かなくていい、だけど、どうかどこかで、幸せになってくださいと願わせてください。

何かを思い出して辛くなった時も、俺には俺のことを好きでいてくれる人がいるじゃん、と胸を張ってください。少なくとも、貴方のことを好きでいる私は最高の人生を送れています。これ以上最高の人生はありません。生まれ変わっても、また絶対に私になって貴方に出会いたい。今後貴方以上好きになれる人は、私の人生ではきっと現れません。

 

これからもきっと、私の人生の中で事あるごとに貴方に救われて、大丈夫じゃない日も大丈夫に変えてくれる存在としてあり続けるんだろう。今までを思い出にはしたくないんだけれど、前向きな門出を信じて、たっくさんの出来事を胸にしまいながら生きていきます。

 

 

 

岸くん、

リーダーとしてみんなを後ろから見守る姿が、

メンバーの笑顔を引き出すためにどんなことでもするところが、

誰よりもメンバー想いで名前の通りに優しいところが、

メンバーと一緒にステージに立つことの喜びをたくさん語ってくれる姿が、

ステージでキラキラと輝き、仲間と踊り歌うことを楽しそうにしている貴方が、

King & Prince が大好きな貴方が、

 

大好きでした。

 

 

 

 

 

 

 

今日で、一区切りをつける貴方へ

 

貴方は最っっっ高のアイドルだよ!!!!!!

 

 

 

 

 

2023.05.22